読み始めた背景
人は自発的に学んだことは定着しやすいし、持続しやすいと思う。
まさにタイトル通りの体験をデザイン(設計)したいと考えていたから。
こんな人におすすめ
- 商品やサービスの開発担当者
- 誰かに依頼したいことがある人
- 企画担当者
一言要約
綿密に考えデザインされた体験の連続が人を感動させ人記憶に残っていく。
内容
第1章 人はなぜ「ついやってしまうのか」(直感のデザイン)
直感のデザイン
・仮説:●●するのかな?
・試行:●●してみよう
・歓喜:●●という自分の仮説があたった
→直接的にわかるものはおもしろい
アフォーダンス:なにかを見たときに思い浮かぶ「●●するのかな」という気持ち
※環境が動物に与える意味
シグニファイア:アフォーダンスを与えるのに特化した情報
何かの体験をデザイする際にこの直感のデザインの連続を考えることが基本戦略となる
→ある一点を超えると「おもしろい」と自覚する
ポイント
1.ある程度長い時間を直感のデザインで埋める
2.ひとつずつの直感のデザインが短く完結すること
3.歓喜の体験にたどり着く確立を高める
→難易度(シンプルで簡単であること)
アプローチ方法
・脳や心の性質を利用する(初頭効果)
・共通する記憶を利用する(ゼルダの話)
ユーザー起点にするしかない
商品やサービスとの関わり方が直感的にわかることを優先する
第2章 人はなぜ「つい夢中になってしまう」のか(驚きのデザイン)
直感のデザインの連続だと「不安→開放」となるため、気疲れする
それを繰り返すと脳は反応が徐々に弱まり、飽きがくる
→予想外のことをすることにより、疲労と飽きが軽減される
予想外のこと
・前提への思い込みの(これは●●だ)
・日常への思い込み(タブーは現れないはずだ)
驚きのデザイン
・仮説:●●するのかな?
・試行:●●してみよう
・驚愕:●●は間違いだった!
→疲れや飽きを拭い去り、より長い時間体験をしてもらう
設計するのはすごく大変
1.疲れや飽きのタイミングを見極める
2.誤解へと導く世界観を事前に構築
3.誤解を露呈する演出をデザイン
これらを何度も実施するのは難しいため、前提を覆すのでなく、
日常の思い込み破る「タブーのモチーフ」だけで驚かせる
1.ポジティブなモチーフ:その体験は人間が本能的に欲するものを描いているか
※性、食、損得、承認
2.ネガティブなモチーフ:その体験は目を背けたくなるものを描いているか
※汚れ、暴力、混乱、死
3.射幸心と偶然のモチーフ:その体験は何かをユーザーに賭けさせ、祈らせている
※カジノ、かいしんのいちげき(確立が大事)
4.プライベートのモチーフ:その体験は性格がでるか
(恥ずかしさ、秘密感、センス)
第3章 人はなぜ「つい誰かに言いたくなってしまう」のか(物語のデザイン)
物語 = ナラティブ
= 物語内容(ストーリー)「何があったか」
+物語言説(ディスコース)「どう伝えるか」←ゲームはこっちに該当
翻弄
環境ストーリーテリング:脳はバラバラの情報同士を結びつけて文脈を作る
テンポとコントラスト:能動と受動の繰り返しにより波を作る ※時間軸が重要
伏線
成長
ゲームの中で展開される架空の物語は
プレイヤーが成長する体験をデザインするための手段
- 収集と反復のモチーフ{穴と全体像→収集と反復→成長}
穴があったら埋めたくなる、それを繰り返すことでうまくなる(成長実感)
全体像を見せる
リズムが大切:問題が未解決であれば緊張感を維持してもらえる
- 選択と裁量のモチーフ{リスクとリターン→選択と裁量→成長}
リスクとリターンを用意
自ら難易度を調整させる:難しすぎるとストレスが強すぎてやめてしまう
行動に合わせてフィードバック(評価)する
- 翻意と共感のモチーフ{面倒な同行者→翻意と共感→成長}
共感を通じて成長させる
→憎しみ以外の感情で共感させる必要がある
※憎しみを超えさせることに意味がある
自分事化(客観的な視点を主観的な視点)にする必要がある
意志
他社から与えられた物語ではなく、自ら未来を決める物語
・命のやり取りのモチーフ
・未知の体験のモチーフ
→プレイヤー自信が自ら物語を描こうとする
・解釈の余地のモチーフ
※あえてはっきりさせないことで「自分はどう思うか」という意志を持たせる
・スタートに戻るモチーフ
※最初に戻ることで成長した実感が持てる
終章 私たちを突き動かす「体験→感情→記憶」
長期記憶は意味記憶をエピソード記憶に分かれる
エピソードは体験により得られ、その体験は強く感情が動いたかどうかで決まる
体験→感情→記憶となり、人生を突き動かす
・わかりにくことが問題→直感のデザイン
・疲れや飽きが問題→驚きのデザイン
・やりがいがない→物語のデザイン
感想
率直に面白かった!特に自分が知っていたり、プレイしたことのあるゲームを例に解説してあったため、すっと内容が入ってきやすかった。様々な演出にそんな意味があると思ってプレイしていなかったため、驚きも多い。ゲームを例に解説しているが、ゲームだけでなく「体験」するというものに関してであれば全部に使える考え方であった。
「ゲームは無駄だ」という声もあるが、綿密にデザインされたゲームはその体験を通じて感動させ、私たちの記憶に刻まれている。それらの体験は人に語りたくなるもので、そういうものを私は無駄とは思わない。
これから、ゲームをするときにまた変わった目線でみることができるようになったのも良かったと思う。
実際に行うアクション
- 自社サービスの体験をもっと魅力的なものにするため3つのデザインを軸にどのような手段があるのかを考えてみる