読み始めた背景
自社サービスのブランド価値を高めて、市場優位性を得たいと考えていたが、そのやり方や今後どのように展開していけばいいかわからなかったから。また、ブランディング自体とても難しそうだが、必要なことであることはわかっていたので、これを気に理解を深めて事業に活かしたいと考えたから。
こんな人におすすめ
- ブランディングは「大企業がするものだ」「お金がないとできない」と考えている人
- デジタル社会におけるブランディングの方法を学びたい人
- ブランディングの全体像をざっくり把握したい人
- そもそもブランディングが難しそうだと思う人の入門書としてもおすすめ
一言要約
ブランド戦略は創るだけでは意味はなく、体現し進化し続けることが企業と社員の両方がともに成長させるつながる
内容
Introduction どんな会社でもブランド戦略が必要な理由
ブランドとは「情報処理を簡略化するための記号」で日常たくさんある
→これがないとなにかの選択が非常に困難になる
デジタル化が進化することで顧客接点の多様化、低価格化が進行
※スマホやアプリによりさらに身近になってきている
ブランド戦略に関する誤解
- お金がかかる(かつてCIブームの際に失敗している企業が多い)
- 高級品だけがするもの
- マス広告が必須(広告代理店の収益が高いから提案しやすい)
上記はやり方によって解消できるし、中小企業こそブランド戦略が必要かつ実施しやすい
各社それぞれにあったブランド戦略を実施していく
Chapter1 ブランドって何?
品質が高いから選んでもらえるわけではない
→価格抜きにすると極端な話「ブランドで選ばれる」
ブランド = 認識記号(形、ロゴ) + 知覚記号(人格、体験による便益、カテゴリー)
ロゴをみてどういうものかがわかること(認識記号→知覚記号)
逆に自分の感覚に対して思い浮かべる状態(知覚記号→認識記号)
→消費者に想起されるかが重要
個人の体験により頭の中で作られるから
影響するものをコントロールできる要素とできない要素がある
ブランド力 = 商品の魅力度 × 接触する量・時間 × 一貫性
※一貫性が最も重要
- 顧客接点の一貫性:接点を把握し、施策間で一貫性を保つ
- 時系列での一貫性:変化するニーズに答えつつ、ブランドは一貫性を保つ
まずブランドは色と形で認識される
※無意識レベル
会社で実施する場合も一貫して実施しなければ意味がない
経営戦略 ⇔ ブランド戦略 ⇔ マーケティング4P施策
※これらの整合性が重要
強いブランドを持つ(ブランディング)メリットは大きい
- 選ばれる理由になる
- 価格(安売りしなくてよい)
- リピート率向上
- 副次的効果(採用、社員満足度、定着率、株価 など)
認知されて初めて品質が問われる
※全く知られていなかったら検討の場に上がることはまずない
Chapter2 ブランド戦略って何?
ブランド力があると価値がストックされ、競争力が安定する
※顧客は商品を総合的に判断するから、品質や価格だけではない
ブランド創りをする際には体制と与件整理からスタート
※与件:前提条件を理解しておかないと無駄に終わってしまうこともある
次に自社の立ち位置を把握
※王者・チャレンジャー、負け犬
ターゲット設定:施策の一貫性を保つ拠り所
- ブランドターゲット(理想像)
- セールスターゲット(拡販先)
感情想起させるメッセージの種類は2つしかない
- チャンス
- リスク
だから、顧客インサイトをきちんと把握してそれに合わせて訴求
※自分で気がついている、いない本音
ブランドの知覚価値を持つ
生活者側
ブランドターゲット:理想像
インサイト:本音
ブランド側
コアバリュー:核となる価値
パーソナリティ:人格
ベネフィット:便益、利益
エビデンス:事実
インサイトとコアバリューは対をなすものでなければならない
考える際には「ブランドの何を武器に、どう戦って行くかが重要」
キャッチコピー大会ではないから、言い回しなどはあとから
商品選択する考え方
どちらがいいではなく、どちらも顧客でどちらを対象にするかも選んでよい
エビデンス:具体的なもの、技術、スペック、口コミ
- 他社よりも優れている
- 他が持っていない独自技術
- 顧客の知識レベルで理解できる概念や言葉
勝ちパターン(ニーズ起点とシーズ起点)
※シーズ起点は苦戦を強いられている
Chapter3 デジタルで進化するブランド戦略
「顧客体験ありき」の発想が大切
→「ものありき」ではない
※エアコンのフィルター掃除機能
顧客体験はトータルで提供すると強い
※いろはす、プッチンプリンなど
顧客の体験をフェーズに分けて、それぞれで考える
→広く考える
接触頻度を上げる(SNSの活用)
※生活者を主語として情報発信
「誰の何を支援するのか」
支援者としての情報発信が重要
レバレッジ戦略:共通して使用できるコア技術へ投資する
→全体が底上げされて大きな利益を生む
※特に小さい企業は予算に限りがあるため必要となる
※ブランドがたくさんあると分散投資になり、結局ダメになってしまうかも
SNSの価値 = 内容 × 切り口の編集 × 人格や個性
※最後のが最も難しい
デジタル化する場合にはブランド戦略があるのが前提でツールだけ導入しても意味ない
施策価値の判断として、「顧客獲得・育成」の視点から行う
※特にコミュニケーション施策では施策数と専門領域が増えたから分散しやすい
Chapter4 ブランド戦略の実行
失敗を防ぐためにまず以下を実施
- 与件整理(上長にはyes/noで答えられる質問をする)
- 各部門も巻き込む
ターゲットを考える
- ブランドターゲット:象徴的顧客
長期的な関係を持ち、マーケットへの影響力が大きい - セールスターゲット:売上を効率的に獲得できる顧客
母数が多く、コストが少なくすむ
そもそも競合に負けていないかが重要
インサイトを考える
「実際にどんな行動をしたいか」で考える
本音は行動にでるので言葉から出るものは建前のものが多く、当てにならない
※アイドルに「好きなタイプ」を聞いて「優しい人」というのと同じ
カスタマージャーニー
購買行動プロセス → 顧客インサイト → 体験施策アイディア
+関係者がもつ情報を加える
→チャンスやリスクを考えられるようになる
評価
受容性 × 差異性で判断
差異性が重要で、ニッチでもここが高いところを評価する
Chapter5 ブランド戦略の定着と組織的学習
事業戦略とブランド戦略は中長期で固定
4P施策には高速PDCAサイクルを回す
PDCAサイクルは次の要素から評価する
- ブランドの購買プロセス
- ブランド知覚
- ブランド接点
数値を見る(PDCAサイクル)目的は正解を出すことではなく、課題を出すために行う
アウトプットを重視することが成長の鍵
感想
それぞれで言っていることは理解しやすいのだか、全体で振り返ると難しかった。
内容がなんとくぶつ切れになっていたり、「無理やりこの章に追加したのかな」という部分もあって、少し読みづらい部分もあった。全体のストーリーがもっとしっかりしているともっと読みやすかったと思う。
しかし、ブランド戦略が重要で自身も取り組んでみたいと思ったし、顧客体験の重要性などは具体例が含まれていてイメージしやすかった。
実行していくと、本書は入門書のため不足分がでてくると思うが、何が不足しているかは本書で学んだことを踏まえれば自ずと答えを求められそうな気がする。
実際に行うアクション
- 自社サービスにおけるブランド戦略の策定
- 1週間後に内容の振り返り
- インサイトや顧客体験に関しての知識の深堀り